
立教大学大学院ビジネスデザイン学科・2014年度秋学期に受講した「観光地マネジメント1・2」についてご紹介します。
■授業の内容(履修要項より)- 日本全国の地域で起こっている、高齢化、生産年齢減少、少子化の中、観光による地域経済発展する方策を数多く身につける。
- 地域の観光リーダーとしてマネジメント能力を身につける。
■受講の動機政府の新成長戦略の中で観光振興は重要な課題として位置づけられており、日本各地で観光による地域活性化が注目されています。一方で、各地域には良い観光素材があるのにPR不足や、新たな観光素材に気づけていない点も多いと感じており、地域を活性化することで観光産業の発展につなげられる手法を学びたいと思い受講しました。
■授業の様子立教といえば観光と言われるぐらいですので、もちろんビジネススクールでも観光系の授業があります。先生はリクルートの旅行部門の研究所である、じゃらんリサーチセンター所長の沢登さんが担当され、リクルートの実践的研究などの調査資料や事例をもとに講義が行われます。授業の前半は毎回のテーマについて先生からの情報のインプットを中心に行われ、後半は受講生同士のディスカッションを中心に進められていきます。先生の講義以外にはじゃらんリサーチセンターの研究員のゲストスピーカーによる訪日外国人旅行などの旬なテーマを扱った講義もあります。また、毎週2~3人の受講者が地域のおすすめ土産を持参し、お土産を食べながらディスカッションするなど和やかな雰囲気で授業が行われました。
■授業後の感想担当の沢登先生は観光庁や地域自治体の様々な委員を務められており、そのご経験から地域活性化の取り組み事例や様々なデータなどを使って講義をされるので、実践に使えそうな有効な気づきが多く、最新の観光動向なども分かりやすいと感じました。また、受講生同士でのディスカッションでは観光業界以外の方も多く、自分ではあまり気づかないような視点での意見はとても参考になりました。
■こんな人におすすめ・旅行・観光産業の中で地域を支援したいと思っている方
・業界を問わず地域活性化に興味のある方
■レポーター紹介- タカバヤシ ヤスユキ(男・40代前半)
- 旅行会社にて旅行商品の企画開発を担当
- 30代に労働運動を勤しみ過ぎ、「ビジネス」という仕事をほとんどしていない自分に気づく。
- 40才で社会人人生まだまだ折り返し手前と思い、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科に入学。
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今回は「食文化とツーリズム」の紹介です。
■授業の内容(履修要綱より)旅行者の立場から、食文化とツーリズムの関係を歴史的発展経緯と国内外の視点から整理し、今日的「食文化とツーリズム」の関係を海外から来る旅行者と国内から海外に出かける旅行者、日本人の国内旅行の3軸を基軸として、分析・議論する。
■受講の動機ここ数年で、和食のユネスコ無形文化遺産登録や各地でのB級グルメブームなど食についての注目が高まっています。一方で、海外からの訪日旅行者が1000万人を超えるなどツーリズム、旅行産業の在り方についても関心が高まっています。食や旅行をビジネス面から考えるに当たり、食についての文化的、歴史的な理解やツーリズムと食の関わりなどマクロ的な背景を体系的に理解したいと思い受講しました。
■授業の様子毎回、先生が作成するハンドアウトや新聞・雑誌の記事が配布され授業が進められます。毎回のトピックについて解説して頂きながら途中で受講生へ質問が投げかけられ、双方向で議論を深めながら授業が進行します。その他に今年の授業では、ゲストスピーカーとして食品メーカーの方がいらっしゃり事業展開と食文化の関わりについての講義や、グループプロジェクトとしてチームに分かれてケースに基づいた食に関連した旅行プランの作成・プレゼンテーションが実施されました。
グループプロジェクトでは日本食に関心のある方がシンガポールから日本へ旅行する事例、日本からイタリアの農村で食を楽しむために旅行する事例、食を楽しみに日本国内を旅行する事例の3つが取り上げられ、それぞれ予算や日程などの制約条件の中で対象顧客のニーズに最大限こたえるための旅行プラン作成に取り組みました。
その他に2回のミニレポート(家庭における食生活の変容、海外旅行における食の位置づけの変容をテーマ)があり、ハンドアウトや課題文献等を読み解きながら食文化とツーリズムの関係性についての理解を深めていきました。最後の授業はテストが行われ、講義で理解してきた概念やフレームワークを用いながら課題に対する自分の考えを記述することが求められます。
■受講後の感想担当の野崎先生は熱心に指導してくださるため、食文化とツーリズムという広範なテーマに対して、それぞれの用語や概念の理解、国際的・歴史的視点、統計データから見た動向やケーススタディなど実例など、あらゆる角度からのアプローチを短期間でこなすことで、理解が深まりやすかったと感じました。
講義の途中では写真を用いて先生の豊富な海外経験の中で収集された各国・各地での食事についての解説が行われましたが、世界中に魅力的な食が豊富にあり、フードビジネスやツーリズムビジネスによってそれらを提供し多くの人々が体験できるようになると、もっと社会が豊かになっていくのではないかと感じ、少しでも自分のビジネスを通じ実現していきたいと思いました。
■こんな人にオススメ- 「食」「旅行」の動向に関心のある方
- サービスビジネス、ツーリズムビジネスについて学びたい方
■レポーター紹介- エンターテイメント系企業勤務(男・30代後半)
- 民間シンクタンク研究員として経済・社会に関する調査研究業務を経て、現在は社内に向けた事業戦略立案やマーケティング活動に関するリサーチコンサルティング業務を担当
- 本質を掘り下げる視点を身につけ、ビジネスに活かすようになることを目指し立教大学大学院ビジネスデザイン研究科に入学し、忙しくも充実した毎日を送っています
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今回は2014年度・春学期・A期間に開講された、久恒新先生の「都市マネジメント論1」の紹介を行いたいと思います。
■授業の内容(履修要綱より)
クリエイティビティが,都市の成長における重要な動力源である,という新しい主張に沿って,都市を再検証してみると,「技術的革新」と都市の発展の関係や,地域の多様性の果たす都市への役割が非常にクリアーに浮かび上がってくる。近年急激に関心の高まっている,この「クリエイティビティ」と「都市」との関係性について学ぶことで,いままで見えにくくなっていた多くの都市の問題に対する解決策や,新しいビジョンが導き出される。クリエイティブ都市経済論を学ぶことを通じ,わが国の都市再生や地域活性化の条件を求めるのが,本授業の目的である。
■受講しようと思ったきっかけ久恒先生は不動産業界では大変著名でいらっしゃり、大学で教鞭を執られているだけでなく、民間シンクタンク・都市経済研究所の代表取締役社長として、都市・土地・住宅に関し研究や政府・与党に政策提言までされてきた先生です。
私自身、2011年にたまたま書店で見かけた先生の著書である『不動産バブルで勝つ鉄則―何が日本のプレーヤーに欠けているのか―(日本経済新聞出版社)』を読んだことがあり、久恒先生のことは立教大学大学院ビジネスデザイン研究科に入学する前から存じ上げていました。
私は、事業再生や地域活性化などを仕事にしていますが、特にこの数年、日本の地方都市の疲弊の大きさを目の当たりにしてきました。そこで、この「都市マネジメント論1」の授業で、多くの都市が抱える問題の原因が何であり、どんな解決策が有効なのかを学んでみたいと思い、受講することにしました。
■実際の授業授業は、アメリカ合衆国生まれの社会学者であるリチャード・フロリダの著作である『クリエイティブ都市経済論―地域活性化の条件(日本評論社)』を輪読する形で進められます。教科書の各章を受講生が担当し、各々がプレゼンテーションを行います。
リチャード・フロリダはこの著書の中で、「才能や能力のある人達(=クリエイティブ・クラス)は、多くのクリエイティブ・クラスの人たちが自由な連携でつながり、才能を発揮しやすい場所に住むことを選好し、それが彼らのような人間の集積化を更に促し、都市をメガ都市へと成長させる原動力になる」と言っています。
有名なカリフォルニア州・シリコンバレーやテキサス州・オースティンなどの事例が取り上げられ、それらの都市の発展過程やその要因を受講生が分析していきます。私自身も、「日本のハコモノ造営による企業誘致失敗とシリコンバレーの隆盛」などを比較してみました。
この授業には多くの中国人留学生(10人くらい)も参加しています。2000年代初頭からの中国のメガ都市の爆発的な発展と現状などをリアルタイムに聞くことができて、先生も彼らに様々な質問を投げかけます。
また、都市マネジメント論の名物として、教科書のレポートがある程度まとまったところで行われる「フィールド・ワーク」が挙げられます。これは、受講生が自主的にある町を取り上げ、事前にその町をリサーチして、先生とお酒を飲みかわしながら討論を行うというものです。
第一回フィールド・ワークは、住みたい街ランキング第三位に入った、我らが立教のお膝元「池袋」が選ばれました。受講生たちは、「池袋の高級マンション分譲の動向」や、「立教の卒業アルバムに見る池袋の今昔」、「クリエイティブ・クラスが集まるBarの集積」などをテーマに、各々が感じたことを先生とディスカッションしました。
■授業を受けてみて久恒先生の授業を受けて、「ある産業が発展するには、その産業が大学を中心にクラスター化して集積し、周辺事業を巻き込んで大きくなっていくことが必要である」ということがわかりました。同時に日本ではそのような産業の集積があまり見られないという事実も知りました。
私は仕事で、日本の養殖業の再生案件を何件か検討する機会がありました。これまでは個々の企業の再生をどうするかで思考がストップしてしまいがちでした。しかし、先生の授業を受けて、養殖業のハイテク化で大きな実績を上げている近畿大学の動向や、彼らがマグロの養殖に成功した長崎県五島列島の産業の集積状況などをしっかり分析し、仕事に役立てていこうという新たな視点を持つことができました。
■先生のご経歴- 立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授、都市経済研究所代表取締役会長、不動産鑑定士
- 慶応義塾大学経済学部卒業、同大学大学院商学研究科修了、早稲田大学院経済学研究科修了。専門は不動産金融と不動産鑑定評価、グローバル投資と投資戦略。
- <主な著書>『こうすれば土地は動く』(日本経済新聞社、1999年)で、それまで日本には紹介されていなかったDFC法の導入やREITの輸入を広くすすめ、不動産証券化時代の到来を予言した。また、不動産のDFC評価の第一人者として、不動産に関する金融や法務分野で政府・与党に政策提言してきた。『わが国8大都市におけるキャップレートの把握』(季刊住宅土地経済、06年)、『DFC法による不動産鑑定評価の考え方と実践』(日本経済新聞社、03年)など著書・論文多数。
■レポーター紹介- S.N.(男・30代後半)
- マネジメントバイアウトファンドやアセットマネジメント会社などで企業に対する投資・事業の再生などに携わる。
- 留学生やファイナンス以外の分野の学生が多く、ビジネスに必要な幅広い分野の授業を受講できる点を魅力に感じ、2014年4月に立教大学ビジネスデザイン研究科に入学。現在、大学院1年生。
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