RBS―後期課程について

20181206 
RBSで前期課程に通われている皆さんは、いろいろな思いを胸に通学されていると思いますが、その後の進路を考えたことはありますか。

前期課程は楽しくて、時間が過ぎるのがあっという間でした。修士論文も執筆中は苦しかったけれども、真剣に課題に向き合い、沢山の書籍や論文を読んで、論立ても実際の執筆も全てが学びでした。

私は、現在もフルタイムで前期課程在学中と変わらず働いていますが、昨年博士課程後期に進学しました。今は、後期課程2年目。前期課程の授業のアシスタントをしたり、ゼミで修論のアドバイスをしたりなど、後期課程学生という立場で、まだ前期課程の皆さんと関わりを持っています。

●後期に入学しようと思ったきっかけ

後期課程に行きたい、と真剣に考え始めたのは、実は修論提出直前でした。修士論文の執筆が終わるに近づくにつれて「本当にこれで終わりでいいのか?」「私は胸を張って、ビジネスを勉強したと、人に言えるのか?」そんな疑問が自分の中で沸き起こりました。そして結論は、「いや。まだまだ足りない。これではビジネスを学んだと到底いえるレベルではない。」なんとなくビジネス全般は学んだような気がするけれど、まだ分からないことだらけ。資本コストってなんですか?と聞かれてもちょっと簡潔に答えられません。(今も。笑)

よく、RBS卒業ロス(RBSがあまりにも楽しかったため、卒業後、突然することがなくなり蛻の殻になるような現象)になる卒業生がいるのですが、もしかしたら、私はそれが怖かったのかもしれません。前期課程で築き上げた学びや、人脈は自分にとって財産で、卒業したら一気に距離が遠くなるでしょうし、新しく入学してくる学生さん達とも関わりがどんどん薄れていくのが寂しいと思いました。この先、RBSという行き場がなくなって、習い事や学業など何かしら探していくのなら、私はRBSに残り、後期課程で研究しかない、そう思いました。

●入学までの道のり

さて、修論提出と同時に後期課程の願書も提出したわけですが、思いつき受験みたいなもので、指導教員の先生方にも全く相談せずに受験しました。私は英語が得意ですので、受験科目である英語はおそらくトップだったと思いますが、後期課程の入学は、英語の点数はあくまでも補助的なものであると、受験して初めて知りました。

後期課程入学を考えるなら、まず一番大事なのは「教授への相談」です。どの分野で、どういう研究をしようとしていて、どの教授がその研究を担当できるか。その道のりが見えていないと、面接では受からないと、落ちてから分かりました。

修士論文提出後の受験は、不合格でした。

後期課程に進学の道は与えられなかったと、割り切って生きていくしかないと、次はどうしようかと悩んでいたところ、面接をして頂いた教授から連絡があり、今後はどうするのか、聞かれました。

私は「進学したいけど、術がわからないです。どうすればこの先、進学までいけるのでしょうか。」と伺ったところ、教授は「博士課程進学には準備できることが沢山ある。別に入学をしなくても準備ができるので、今入学しては学費がもったいないかもしれない。今年はできることをやってみなさい。」と何をすべきか私に教えてくださりました。

その年は後期課程入学とはなりませんでしたが、ご厚意で教授や後期課程の皆さんのアドバイスを沢山貰うチャンスがあり、無事2回の学会発表を終え、昨年の入学に至りました。

●前期との違い

前期では履修したい授業を決めて、履修していき、成績を意識しながら単位を取っていく、というスタイルでした。後期課程は全く違います。自分が研究したいときに研究したいだけ、自分の分野を突き詰め続ける、そんな感じでしょうか。

前期課程では決まった時間の授業で、グループワークや課題、試験勉強などに追われましたが、今はとにかく院生室で調べ続ける、そんな感じです。自己管理が徹底していないと研究は進まないかもしれません。しかし、後期課程に入っている方は研究がしたくて大学院に残っているので、研究に距離を置きません。自然に研究をしている、というスタイルになっています。私はアシスタントをしている日とゼミの日以外は、仕事の後に大体院生室に来て、毎日数時間ずつ、研究を続けています。

●博士号取得への意気込み

受験前、入学後に思い描いている研究テーマがありました。修士論文で突き詰められなかったことを、今度はもっと広げて博士論文で研究したい。そう思い、研究を進めてきましたが、山あり谷ありで、自分の中でうまくいく、と思っていた課題が、実際研究してみると思った以上に研究の範囲が広がりました。

教授だけではなく後期課程の先輩達に色々なアドバイスを頂きながら、まだ自分の研究の骨を固めている最中です。他のビジネススクールの後期課程は分かりませんが、RBSの後期課程にいて、一番心強いのは、皆が社会人でありながら、研究を続けている、その環境だからこそ、励まし合える、実務家としてのアドバイスがある、そしてアカデミックな視点でのアドバイスもある、というところです。博士論文を執筆する、という同じ目標を持ち(既に執筆し卒業された先輩も含め)、それぞれ研究テーマが違うのにもかかわらず、ゼミでは皆真剣にそれぞれの研究にアドバイスをし、どうしたら前に進むか皆で考えます。これが、どれだけ心強いかは、実際研究をしないと分からないかもしれません。

素晴らしい人々に囲まれながら、自分の心ゆくまで研究を進め、疑問が出てきたら、教授と先輩方にゼミで問いかける。そのスタイルを続けていると、自分の研究にどんどん自信が出てきて、少しずつ前に進んでいきます。まだ卒業までは道のりが長いかもしれませんが(笑)、早く知りたいことを突き詰めて、さっぱりしたいものです!

●進路?

卒業後どうするか、私はまだ考えていません。博士まで行くと、アカデミックな道に進まれる方も多いと思うのですが、私は企業で経営管理学博士として、女性として、母親として、研究者として、将来役立って行きたい、と切に願っています。

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レポーター紹介
2016年3月RBS前期課程卒業。2017年4月に後期課程に入学。14年のアメリカ生活を経て、2012年に帰国、その後製薬会社に勤務。中学生の子供と二人暮らしのシングルマザーで、子育て・フルタイム社員・学生・誰かの彼女、4足のわらじで大忙し。
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卒業にあたって:自由の学府を守るため

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4月の土曜日、桜の花が満開の立教大学の池袋キャンパスを訪れ、無事にMBAの修了証書を頂きました。私は仕事の関係で修了式に出席できず、後日の証書の受け取りとなったためです。キャンパスではちょうど15期生の入学式があったようで、事務局には何人かの新入学生が来ていました。

様々な思いを胸に立教大学MBAの門を叩いてから2年。本当に時が経つのは早いと実感しています。新学期は様々な先生や同級生と知り合いながら、同時に相手との距離をはかって多少緊張していました。それも夏のJBCC(国内最大のMBAのビジネス・コンペティション)や後期のビジネスシミュレーションを経て、周りの人とは一気に打ち解けていきます。

私たちの代は同級生の数が少なく、良く言えば少数精鋭、悪く言えば立教のブランドの再構築が必要な年で、教授との討議会・BD研(立教MBAの生徒会のようなもの)の充実・授業の素晴らしさを伝える当ブログの立ち上げなどを学生が自ら行ってきました。決して平坦な道のりではなく、様々な議論や軋轢を乗り越えて、今年入学した15期生は90名を超える大幅な増加で新入生を迎えることができました。

今回卒業にあたり、立教の教育理念である「自由の学府」ということについて思うことがあり、これから入学される新入生や、受験を検討されている方にブログをお届けしようと思います。

■自由の学府について
「自由の学府」とも呼ばれる立教大学。立教の教育理念としての自由とは、「人間をある一定の型に当てはめるのではなく、それぞれの人が生まれながらに与えられた資質を育み、それが伸び伸びと開花できるよう、できるかぎりの援助を惜しまない」というものです。高度な学問を修めるということは、それだけ知識の照らす視野が広がり、制限から解放されるということで新しい何かを創造するには不可欠な条件です。現象にとらわれず、常にその本質に迫ろうとする自由の精神こそが立教の精神といえます。

「自由の学府」としての思想は、立教の活動のあらゆる場面に表れています。様々な個性や背景を持った人達を受け入れ、ビジネスデザイン研究科(=立教大学MBA)などを設置し、大学教育の活性化を図ってきました。自由で多彩なカリキュラムは最小限の必修科目、大幅な選択科目に加え、学部、学科の枠を超えられる 柔軟な体制となっています。

■なぜ今、立教MBAなのか?
私はこうした「自由の学府」としての立教MBAの良さを、大学院説明会やMBAエキスポといった場所で、MBA受験を検討されている皆さんに話してきました。国内のMBAは、大きく分けると①全日制と夜間制、②オールラウンド型と専門型、③単位取得が厳しいところと柔軟にカリキュラムを組めるところ、などといった軸で切ることができます。私の解釈では、立教MBAは、①夜間型で勤務を継続したい社会人にも開かれており、②オールラウンド型で様々な職種・年代・国籍の学生が集い、③カリキュラムは柔軟に組むことができて、家庭・仕事生活との両立を自分なりに工夫して構築することができる学校です。

この中でも①は、会社派遣でもない限り、既存の会社を辞職してまで国内MBAを目指そうという方は年々減ってきていると思います。②については、当ブログの様々な記事で触れられているので是非ご覧になってみてください。今日は③にスポットを当てたいと思います。

様々なMBAがある中、立教には様々なジャンルの授業があります。戦略論やファイナンスといったビジネススキルを養うものだけではなく、「会社とは何か?」「経済活動とは何か?」ということを本質論にまで掘り下げて思考していく授業も少なくありません。そして、比較的緩やかに単位取得を蓄積できるMBAであると思います。

これはとても素晴らしいことだと思います。MBAによっては、いわゆる米国のMBAを真似たスキル重視のカリキュラムが組まれており、論文の作成がなかったり、膨大な数の宿題が出てグループワークに多くの時間を割かなくてはならない学校もあると聞きます。もちろん、それはそれで素晴らしいことではあるのですが、そのしわ寄せが家族・仕事に向けられることも多々あるでしょう。それでは何のためにMBAを取得するのか、目的と手段の本末転倒が起きかねません。MBAを目指す方は、「人から言われないと勉強できない」という方はいらっしゃらないでしょうから、自由度の高い立教MBAは魅力が大きいと思います。

■「自由の学府」を守るため
今まで説明してきた立教MBAの「自由の学府」は、学校から与えられるものではなくて、MBA生活を通じて学生自身が日々自己研鑽を積むことによって築かれるものであると私は考えています。

私が学部生である時、近代思想史の授業の中で、あるアメリカの社会学者の言葉を習いました。それは、「自由を祝福することはやさしい。それに比べて自由を擁護することは困難である。しかし自由を擁護することに比べて、自由を市民が日々行使することはさらに困難である」というものです。自由は置物のようにそこにあるのではなく、現実の行使によってだけ守られる。言い換えれば、日々自由になろうとすることによって初めて自由でありうるということです。

MBA生活になぞらえて言えば、立教の「自由の学府」を守るためには、立教MBAが自由であるということに甘んじて、学生生活の惰性を好み、単位さえ何とか取得できたら後はどうでも良いと思っている人はもったいないということです。立教には素晴らしい教授陣・多様な学生・快適な学習空間(図書館や院生棟など)があります。これから立教MBAの門を叩こうという方は、飲み会やレクリエーションだけに精を出すのではなく、是非こうした学問につながる立教MBA生としての権利を存分に行使し、学びを深めていっていただくと良いのではないかと思います。そうすることが、皆さん自身と立教MBAを相互にますます盛り立てていってくれるのだと思います。

これから2年間、立教MBAに入学された方々の豊かな学生生活を祈念して、最後の記事とさせていただきます。仕事・家庭との両立は決して易しいものではないと思いますが、是非頑張ってください。

■レポーター紹介
  • S.N.(男・30代後半)
  • マネジメントバイアウトファンドやアセットマネジメント会社などで企業に対する投資・事業の再生などに携わる。
  • ファイナンス以外の分野の学生や留学生が多く、ビジネスに必要な幅広い分野の授業を受講できる点を魅力に感じ、2014年4月に立教大学ビジネスデザイン研究科に入学。2016年3月に卒業。


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