↑田中先生お手製の大量のテキストの山!
今回は、2015年度春学期に開講された田中道昭先生の「サービスマーケティング」の授業を紹介したいと思います。
田中道昭先生は今年から立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の教授に着任され、学歴も職歴も輝かしい経歴をお持ちの先生です。プロフィールを知りたい方はこちらから→(
http://www.rikkyo.ac.jp/sindaigakuin/bizsite/professor/ )
■授業の内容 シラバスから抜粋すると「サービス産業全般に対するサービス経営学の中核としてのサービス・マーケティング、 サービス産業全般に対するマーケティングとしてのサービス・マーケティング (商品に対して、 サービスに関するマーケティング) を実践的に学ぶ」となっております。しかし、授業そのものはサービス産業に限らず、会社という組織、商品、さらには生き方や人生、対人関係までと、かなり幅広い分野に適応できる実践的なフレームワークを学んでいく授業です。
授業で身につく大きな内容は二つ。
マーケティングの基礎的なフレームワークと身近な事例を掛け合わせる実践的学習(コトラーやケラー) ミッションの設定方法と着地点を知り、リーダーシップのフレームワークや対人手法について実践的に学習することにより自分自身の人間性を高める 【マーケティングフレームワーク】 フレームワークに関しては、時代の変化に伴い古いや新しいなど色々賛否両論がありますが、先生の授業でまず感激することは、フレームワークはやはり重要であった、という基本的なことです。最近、あれ?大丈夫かな?と思っている企業をそのままフレームワークに当てはめて、何が今この企業にとって足りていないのか、問題なのかを授業で議論します。ゆっくり考えてみるとやはりその企業に特有の問題が明らかに!そこでその企業に「あー分かった問題点を教えてあげたい!!!」みたいなすっきりしない気持ちになってしまうのが授業の難点ですが(笑)、そのような感じで、良い事例はもちろん、悪い事例をしっかり分析して「こうしたらいいのに!」という気持ちを育てます。その問題点の考え方が、実務にそのまま使えるということに・・・。私は学んだ次の日から早速実践でき、色々な実務での問題を解決するに至りました。それだけでも田中先生の授業を取ったということは大きな収穫でした。
【ミッション、リーダーシップ】 皆さんは今までどのような目標設定で人生を生きてきましたか・・・?
ただ問題点を解決し、自分を高めていくためでしょうか。
必要に迫られて、物事をこなしてきただけですか?
誰かの為、に頑張ってきたのですか。。。?
事業、組織、ブランド、商品、そして個人的な生活において、どのような目標設定をするかで行動範囲も気持ちも大きく変わります。それを踏まえて敢えて、あなたの使命は何か、をダイレクトに先生に問われる一面があります。今まで人生や自分の哲学について考えてきた人、何となくレールに乗って来た人、もちろんRBSに通っているというだけで皆さん沢山問題意識をもっているのですが、この結果に関してはクラスメートで大きな個人差があります。 自分が今、どのステージにいて、どういう使命を感じているかをはっきり気づかせてくれる衝撃の瞬間。 そして今後において自分をどう変えていきたいか、さらにはRBSに通った一人として、どうやってリーダーシップを取り社会で貢献していくのか。
この考え方は更に、事業や組織、ブランド、商品と業務に関することにも影響していきます。企業として、今まで使命感(=ミッション)を従業員に伝えきれていないであれば、その企業が持っているミッションを更に分かりやすく、共感できるものにしていかなければならない。組織内の自分の社員としての価値であったり、商品価値もまた同じ。明確なミッションを持っていないと、人の心には響かない、共感してもらえない、つまりは消費者とのコミュニケーションが至らない、サービス・商品を受け入れてもらえない、そういうことに広がっていくのです。
■授業の特徴 授業ではテキストに沿いディスカッションが繰り広げられ、寝ている暇はありません。(汗) ロールプレイングなど体感で学ぶ練習もあります。おもしろかったのは、人の話を「とあるテクニック」を用いて聞き、相手の心を開く方法。どういうことかは受講して学んで下さい!
■こんな方にお勧め 会社経営をしている方、事業戦略に携わっている方、社内での自分のポジションを確立している方、商品・ブランド・営業等消費者と関わる部門にいる方、または医療や福祉など人に関わる仕事をしている方。更には、リーダーシップの取り方などに興味がある方。
田中先生はとにかく熱血。社会人となると、これほど熱い先生と接することもそうそうないでしょう。いい意味で癖があり、しぶとく、熱く、時には熱すぎてこちらは溶けそうになりますが(笑)、受講しきった時の達成感は半端ありません!刺激的な授業を求めているのなら、絶対お勧めです。
↑学期終了後の懇親会の様子
■レポーター紹介 Miya H
製薬会社のコンシューマーヘルスケア部門、海外事業戦略チームに所属。 米国で大学卒業、その後現地で12年間の外交政策研究所(シンクタンク)勤務を経て日本に帰国。ビジネス経験が全くないのにも関わらず、なぜか経営戦略部、続いて現職に関わることになった為、慌ててRBSの門を叩いて入学することに。 バツイチで子持ち、実家のパワーを借りながらバリバリのキャリアウーマンやっています! そんな中でも素直でいい子に育った子供が自慢^_^ RBSに子供を連れて行かなければ行けない時が時々ありますが、先生方を含め皆、子供を暖かく迎え入れてくれ、一緒に授業を受けたりなどさせてくれます。子供にとっても大人が必死に勉強をしているところを見るのは大変刺激的!そういう米国的なオープンマインドな人々が多く、自由度もある、素晴らしい学校です!I am so proud of being a student of RBS.
もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
スポンサーサイト
前回書いたビジネスシミュレーションの紹介の第二回を書きます。
■白熱する授業 私たちの代のお題目は「財務体質も業績も悪い体重計メーカーの経営」でした。毎回の授業は次のような流れで行われます。
授業の後に配布される市場レポートと各社の経営実績を精読して、締め切りまでに自分たちのチームの経営計画シート(何台の体重計を製造するか、営業マンのルート配置をどうするか、従業員を増やすのか、設備投資をするのかなど)を完成させます。 授業ではプレゼン資料を作成し、なぜそのような経営計画シートにすることにしたのか、自分たちの意思決定のプロセスを説明します。また、それに留まらず、具体的なプロモーション活動の内容や新製品のスペックなどを練って発表します。 各チームのプレゼンを受けて、他のチームメンバーや教授との間で種々のディスカッションや質疑応答を行い、様々な論点について理解を深めます。 一番白熱するのは3番目のディスカッションと質疑応答です。指導してくださる教授からは、「他のチームに対する一方的な批判やダメ出しは禁止。建設的な議論を行って欲しい」とのルールが示されましたが、最初の頃はどうしても熱い戦いが繰り広げられがちです。
私たちのチームは、前回の記事で書いた通り、「意思決定のプロセスを学ぶ」ということを最重要課題にしていたため、「なぜこの商品ミックスで製造をするのか」であるとか、「なぜこのタイミングで設備投資を行うのか」ということを、できる限り数値分析を中心に行いました。
より具体的に言うと、「全部原価計算と直接原価計算で見たときの意思決定の違い」であるとか、「リソース制約がある中で、どのように商品ミックスを決めるのかというPIC分析」などを他のチームより時間を割いて行いました。
一方で、そうした分析を中心に行っていた関係で、他のチームが深く考えていたセールスプロモーションの内容や、マーケティング施策などはあまり触れることができませんでした。授業の中では、「マーケティングを疎かにしている」という厳しい指摘を受け、それに応える形で「その分、意思決定分析はしっかりやっている」などというやり取りが続くこともありました。
授業の運営について教授に相談したこともありました。仮想の企業であるとはいえ、社長を任されている状況下で、率直な意見を先生方に述べたこともありましたが、先生方全員から大変丁寧なご意見とフォローを頂き、本当に立教大学のMBAに進学して良かったと思いました。
こんな感じで最初の数回はチーム間のやり取りがかみ合わないこともあり、このまま爆発しないでやっていけるかと思うこともありましたが、そうした不安はいつのまにか消えていきました。
それは、各チームがものすごく頑張っており、それが各チームのカラーへと昇華され、結果としてそれが自分たちとは違うことを考えていることに対する敬意や興味にかわって来たからです。
私たちのチームは、通称・「浜辺の兄弟」がいる二つのチームと意見が割れることが多かったのですが、回を重ねるにつれて、「浜辺の弟がこの予算制約の中でこういうプロモーションを編み出すのは凄いな」であるとか、「確かに浜辺の兄貴が言っているマーケティング政策には理があるし、結果としてあっちの方が業績も出ているんだよな」と感心することが多くなっていったのです。
これが立教大学のMBAの最大の特長だと思います。立教大学のMBAには、老若男女国籍も様々なバックグラウンドな人が集まっており、互いに切磋琢磨しながら勉強しています。仮にこの授業が他の大学のファイナンス学科などで行われていたら、私たちのチームのようなアプローチをとる人たちも多かったでしょう。しかし立教のMBAでは、色々な個性を持つ人が実に様々な経営を考えており、結果としてそれが各チームの個性豊かな提案へと実を結んでいったのです。これは本当に勉強になりました。
■授業ではどんなコメントをするべきか 授業でのディスカッションを不毛なたたき合いの場にしないためには、どのようなコメントを心がけるべきでしょうか。この問いに対する正解というものはありません。ですが、参考までに私が気をつけていたことを共有したいと思います。
私は仕事が企業に対する投資や財務分析であるため、そのあたりで他のチームに前向きなコメントができないかをいつも心がけていました。
例えば、意思決定の手法を変えた方が本来そのチームが達成しようとしていることにより近づくのではないかと思った際には、全部原価計算で製品ミックスを決めるのではなくて、直接原価計算でどの製品をどれだけ製造するかを決めた方が良いのではないかという提案をしたりしました。
また、あるチームがポリシーとして掲げている経営方法に対して、モニターしている財務数値が適切でないのではないかと思った時もコメントを行いました。例えば、キャッシュの残高を気にして在庫を増やしたくないと思っているチームが、営業利益の大小ばかりを見ていた時などは、営業キャッシュフローや在庫回転率などをモニターした方が良いことを提案しました。
他には、もう少しリスクを取ってもいいのではないかというようなアドバイスをしたこともあります。例えば、一貫して最終損益が黒字で純資産の額がかなり積みあがっていたチームに対しては、ROEが他のチームに比べて低くなっている点などをコメントし、マーケットが拡大基調にあるのでレバレッジ(借入金)を活用して新規設備投資を行って、新製品の販売で利益を取りに行くことを検討しても良いのではないかなどです。
ビジネスシミュレーションの授業では、様々なバックグラウンド・職種の立教MBA生たちが、様々な提案やアドバイスをしてくれます。これは本当に有意義で楽しい時間でした。ファイナンス系の学生ばかりが集まるMBAでは、ここまでの厚みを授業で出すことはできません。多様な人材が集まる立教のMBAの奥深さを十分に堪能することができます。
次回、最終回として、感銘を受けた先生のお言葉などについて書こうと思います。
■レポーター紹介 S.N.(男・30代後半) マネジメントバイアウトファンドやアセットマネジメント会社などで企業に対する投資・事業の再生などに携わる。 ファイナンス以外の分野の学生や留学生が多く、ビジネスに必要な幅広い分野の授業を受講できる点を魅力に感じ、2014年4月に立教大学ビジネスデザイン研究科に入学。現在、大学院2年生。 もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
2015年7月25日のビジネスデザイン研究科・21世紀社会デザイン研究科進学相談会に参加できなかった方向けに、ビジネスデザイン研究科進学相談会が再度開催されます。
■日時 : 2015年8月22日(土)16:00~18:00
■場所 : 池袋キャンパス本館1101教室・1102教室・1103教室・1104教室
■公式ページは
こちら からご確認ください。
「立教のMBAではどのようなことが行われているのか」、「仕事との両立をどのように行っているのか」、「修了生のキャリアデザインやキャリアシフトの動向は?」などについて、修了生・現役院生,教員を交えて意見交換が行われますので、是非奮ってご参加ください。
もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
2015年春学期に受講した、髙柳 寛樹先生の「ビジネスプレゼンテーション・スキル」について紹介します。
■授業の内容(履修要綱より) ビジネス上のプレゼンテーションは単なる「発表」にとどまらずビジネスそのものであると言っても過言ではない。従って学問としてのプレゼンテーションやその生い立ち、スキルについて考えることはアントレプレナーやビジネスマンにとって最低限の「教養」であるといって良い。(中略)この講義では実際に参加者が仮想のビジネスを設定し、仮想の相手や背景を想定してプレゼンテーションを実践する実技を基本としながら、学問としてのプレゼンテーションの理論も勉強する。参加者は実践に対して率直な意見を言い議論を重ねる。プレゼンターとオーディエンス両方の立場を知ることで、体験的にスキルを習得することを目的とする。
■受講の動機 現在の仕事においてプレゼンを行う機会はほとんどありませんが、そもそも人前で話すことが不得意で、プレゼンに対しても漠然とした苦手意識を持っていると自分自身感じていました。
今後、ローテーションやキャリアアップにともない、プレゼンを行う機会(≒行わざるを得ない状況?)が増えるであろうことを想定すると、今のうちにプレゼンに対する苦手意識を克服しておきたい!と考えるようになり、受講を決めました。
「知識」だけでなく「スキル」を体験的に学べるという点もこの授業ならではの特徴であり、実践的に学ぶことで仕事で使えるレベルまで身に付けたいという気持ちもありました。
■授業の様子 授業の中心は受講生によるプレゼンをもとに進められます。その前に、まずはウォーミングアップとして「TED Talks」の事例からプレゼンを行う上での大まかなポイントを学びます。次にゲストスピーカーによる講義から、より実践的なプレゼンについて教えていただきます(ゲストスピーカーはビジネス界で先駆的なプレゼンを行っている方を呼んでいただけます)。
ウォーミングアップならびにゲストスピーカーの後、いよいよ受講生によるプレゼンが始まります。プレゼンはグループ単位で、仮想のビジネスを設定し、仮想の相手や背景を想定して行います。発表するグループ以外の受講生は、仮想の相手になりきってプレゼンに臨みます。そしてプレゼン終了後には、先生と他の受講生による評価、議論(ダメ出し?)ならびに理論の解説が行われ、プレゼンに対する学びを深めていきます。
さらに、本年度はプレゼンテーション・ビジュアルを革新する名著『Slide:ology[スライドロジー]』の輪読を行い、アイデアの発想法から、図表作成、ストーリーテリングまで、革新的なプレゼンテーション・ビジュアル作成のための即実践可能なテクニックについて学びました。
期末時には最終テストがあり、授業を通じて学んできたプレゼンの理論に関する習熟度が試されます。
なお、プレゼンの準備(仮想ビジネスの設定、構成検討、資料作成、事前練習など)は原則授業時間外に行うため、授業後や休みの日にグループで集まって打ち合わせをしたり、自宅で資料を作ったり、駅から自宅までの帰り道で発表の練習をしたり(笑)するなど、時間と工数を要する講義であることを付け加えておきます。
■受講後の感想 この授業は私にとって「挑戦」そのものでした。というのも、プレゼンの経験が少なく、何より人前で話すことが得意ではない自分が、あえて苦手克服のために受講しているので、そのストレスのかかりようといったら・・・という感じで初めのうちは授業に臨んでいました。しかし、授業自体は少人数で、緊張感の中にも和やかさのあるとてもよい雰囲気の中で行われたこともあり、次第にリラックスして受講できるようになっていきました。
この授業を通して学んだことはたくさんあるのですが、一番大切なのは、「何のために」「誰のために」そのプレゼンが存在するのかを忘れてはならないということです(目的合理性の追求)。プレゼンの場面には常に相手があり、自分にとって望ましい行動を相手にとってもらうことがプレゼンのゴール(=成功)である。そのために相手をいかに説得し、共感あるいは納得してもらうかが腕の見せ所(=スキル)であり、ここでさまざまな「理論」が役に立ちます。
プレゼンと聞くと、どんなスライドを作って何を話そうかというように『自分の関心』につい意識が集中しがちだったのですが、そうではなくて、常に『相手の関心』に意識を集中させて、「相手が知りたいであろう事を、相手が分かるように、言葉とスライドを使って伝える」というごく当たり前の事に気づかされました。
この授業を受けたことでプレゼンのスキルが上がったかどうかはまだわかりませんが、少なくとも苦手意識はなくなったように感じています。なせなら、授業で教わったさまざまな理論が自分にとって『お守り』のような存在になっているからです。先生も授業中に「この授業で紹介する理論を実践することで、自信を持ってプレゼンすることができる!」と何度もおっしゃっていましたが、その通りだと思います。ただし、当然のことながら場数を踏んで経験値を上げていくことも大切ですので、今後はチャンスを見つけてどんどん実践していきたいと考えています。
■こんな人にオススメ ・プレゼンテーションの理論について学びたい方
・プレゼンテーションに苦手意識を持っている方
■レポーター紹介 ユアサノブヒト(男・30代前半)
食品メーカーにてシステム、経営企画を経て、現在は製品情報管理やライン稼働管理などの社内調整を主に担当
経営に関する“共通言語”を学ぶとともに、社外の異業種・異職種の方々との“対外試合”でビジネススキルを磨き、さまざまな経験の蓄積と人的ネットワークの構築を目指して、2014年4月に立教大学大学院ビジネスデザイン研究科に入学。時間管理の重要さを改めて感じつつ、寝不足と格闘する日々を送っています。
もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
今回は、2015年度春学期に開講された山中伸彦先生のビジネスオーガニゼーションの授業について書きます。
自身は10人を超える組織をコントロールした経験はありません。現在は横断的な部門間を調整したりする役割ですが、まだ未分化の組織です。
受講する方の実務背景は様々だと思いますし履修する目的も様々だと思いますが、この授業を有意義なものにするのであれば「横断的な部門と複数階層(実質的な意味で)を持つ組織のトップマネジメントの立場を想像すること」「組織戦略に関わる強烈な問題意識」が必要だと思います。
具体例を挙げると、ミンツバーグの組織コンフィギュレーションの話などがそれにあたります。「組織をマニュアル化したり合理化したりする場合には、テクノ構造が強化される」という話があったとき、実務経験のレベルでイメージすると「テクノ構造に所属する自分の立場」か「作業核等の他の部門に所属する立場」かという視点になりがちです。(実際自分も、当初そういう視点だけで授業を受けてしまっていたことに反省しています。)
ところが、前述のような「一定規模のトップマネジメントの視点」で考えると「もっと業務を合理的にしたいのであれば、テクノ構造を強化すればいいのか」「それによって、こんな問題が起きうるのか」ということが考えられるのです。さらに言えば、自身の実務が市場が競争環境にあるとしたとき、他の企業の組織図や求人募集から戦略の方向性を読み取ることもできるのです。
ところが、経験したことのない立場を想像したうえで、この視点を意識してディスカッションに参加するということは非常に難しいです。「MBAは活発なディスカッションがあってこそ」という方は少し物足りなさがあるかもしれません。しかしそもそもが「この分野の実務経験者というものが限られている」という環境があるため、この授業の分野自体が「座学になりやすい分野」なのだとも思います。しかし、もしも前述のような考え方ができれば、そこで得られるものはもっと大きかったのではないか、と終わってみてから反省している次第です。
後半期間では「前半のマクロでのフレームワークを踏まえたうえで」、組織戦略に関わる研究論文をテーマに授業が進行します。ピックアップされるものは、実証研究や理論研究など様々ですが、前述のような組織戦略の視点と実務経験の視点双方から読み取ることが必要となってきます。というのも、先生から出題される論点が、現場の立場から考える出題と、経営側の立場から考える出題が織り交ぜられており、受講者が漠然と読んで示唆を得るというスタイルではないため、授業目的が逆に読み取りやすくなります(論文自体の読みやすさは別として、ですが)。
そういったこともあって、後半期間に入ってから「前半期間の意図を理解できた」という感じです。
組織は戦略に従うのか、戦略は組織に従うのか、組織が固定化したり性格付けされる要因は何か、組織の慣性や性格が引き起こす問題はどう表れてくるのか、そういった議論を後半でするための手がかりが授業の前半期間で行われる、という構成です。
「予習すればよい」というものではなく、「どういう視点で授業を聞くか」という準備次第で、この授業の面白さや評価が変わるのではないかと感じます。
■レポーター セールスプロモーションの会社経営36歳。 知人のススメで入学即答。 気付けばすっかり学校優先。 社員に怒られ、本末転倒。 開き直って、学業没頭。 履修を詰め込み、七転八倒。 もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
今回は、2015年度春学期に開講された中村二朗先生のテクノロジー&ストラテジーの授業について書きます。
授業が変則的な時間に行われることもあり少人数ではありましたが、非常に得るものが多かった授業です。自身は過去にサービス企画やプロダクト企画に携わっていたこともあり、ある程度は実務を知っていた身ですが、「当時に知っていれば…」といった話も多くあり、サービスや製品を企画・開発してみたい・興味ない・したことがある・したことないに関わらず「製品やサービスに関わる人」すべてにとって有益な授業だと思います。
授業の内容の半分はマーケティングの領域の話で、半分は技術というものに対する概論になります。製品やサービスの特性により各プロセスで取りうる手段の制限や可能性、リスクやリターンの考え方など、まさに「技術(テクノロジー)に応じた戦略(ストラテジー)の取り方」を学びます。
製品ライフサイクル、イノベーションのジレンマ、規模の経済の話という製品側からの視点だけでなく、競争環境下での開発戦略など、マーケット側の視点から製品の位置付けの考え方など、先生は「製品開発などを経験したことがない人でもわかりやすく」ということをおっしゃっていましたが、ひょっといたら実務で経験したことがある人ほど、気づかされるものが多いかもしれません。
授業の進行はレジュメをベースとして進みます。時折投げかけられる質問(この事例に該当する製品やサービスは?など)の答えも、非常に切り口の面白い事例などが出てきたり、他社の製品やサービスのコンセプトを読み取る訓練にもなります。製品のテクノロジートレンドとその製品の特長をとらえることで「企業がどのような考え方に基づいて戦略構築しているのか」ということを推測する手がかりを得ることができます。この視点は企画や開発という分野だけでなく、営業や財務といった、一見テクノロジーには関係なさそうな職務においても非常に重要であると感じました。
■レポーター セールスプロモーションの会社経営36歳。 知人のススメで入学即答。 気付けばすっかり学校優先。 社員に怒られ、本末転倒。 開き直って、学業没頭。 履修を詰め込み、七転八倒。 もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科には、ビジネスシュミレーションと呼ばれる名物授業があります。今日はこのビジネスシュミレーションの紹介を行いたいと思います。長くなりそうなので、数回に分けて記事を書く予定です。
■授業の目的 事業構想を担う創造的人材には、適切な決断を下す能力が求められます。こうした能力は教室での講義で培われるものではないため、院生が仮想企業のトップマネジメントチームとして企業の戦略的意思決定を経験的に修得するのがビジネスシミュレーションです。
■履修する前の不安 このビジネスシュミレーションは4~5名の院生がチームとなり、各人が役割(社長・財務・営業・製造・研究開発等)を担って、仮想企業の経営執行を実施します。毎年チーム間で競争が行われ、学生の間のみならず教授との間でも議論が繰り広げられます。
私は上の代の先輩に色々とヒアリングしたところ、「毎回週末を使って夜の12時過ぎまで話し合った」とか、「チームの中で意見が分かれて激論になった」などという話が出てきて、履修する前は正直不安でした。
ですが、こうした不安は、自分の心の持ちようでいくらでもプラスに転換していくことができることを追ってご紹介します。
■チームメンバーの役割を決める チームメンバーは運営に携わってくださる先生によって決められます。よって仲の良い学友と組むという仕組みではありません。事前に自分の職種(経営者・営業・マーケティング・財務等)がどのようなものか、学校からアンケートが実施され、メンバーの職種が被りすぎないように配慮がされます。
チームは初回の説明会で発表されます。そして、各チームが夏休み中に自主的に集まり、各人の役割、会社名、会社のミッション・ビジョン・バリューなどを決めます。
私のチームは4名で、うち2名が若い中国人留学生でした。普段、投資ファンドで仕事をしている私は社長に立候補し、PRやマーケティングを専門にしているKさんが財務担当、留学生のLさんが製造、Yさんが営業担当になりました。
ここで重要なことは、社長は立候補で決めるのが一番だということです。履修をしてみて実感したのですが、各チームのカラーは社長によって大きく左右さます。各社がどういう戦略に打って出て、どういう意思決定を下すかは社長次第です。
ですから、社長をじゃんけんや、一番若い人にやってもらうなどという機械的な方法で決めるのは非常にもったいないです。チームの中心をしっかりと据え、最終的に社長が業績その他について責任を負うということをはっきりすることが必要です。
私は社長に立候補した後、以下のような目標を自分の中でたてました。
自分はキャリアの中で比較的慎重な意思決定ばかりしてきたので、今回は成長のチャンスや他社に差をつけるような機会があれば、リスクを積極的に取っていこう。 何でも自分一人でやってしまうことが多かったので、この授業ではメンバーを信頼し、任せるところは思い切り任せ、とは言え投げっぱなしにするのではなく、レビューはしっかりと行おう。 実業の経験が浅い若い中国人留学生が2人チームにいるので、この授業を通して、どんな業界に行ってもある程度共通で役に立つ意思決定の方法を共に学んでいこう。 そのために、シミュレーションの前提条件・ルール・各社が置かれた状況・ファイナンスの仕組みなどは、一文一文チームで良く理解してから授業にのぞもう。 ■授業が始まる前の事前準備の重要さ 私たちのチームは夏休み期間中、毎週一回集まって、事前に与えられたケースの読み込みを行い、同時に社名、ミッション・ビジョン・バリューの決定をし、財務シミュレーションモデルなどを組んで会社の中期事業計画を練っていきました。これが実はとても重要なことであったのを追って知ることになります。
本学では、岩田松雄先生の「トップマネジメント論」などの授業を通じて、企業のミッション・ビジョン・バリューを深く考えることがいかに大切であるかをよく学びます。そのため、私たちはかなりの時間をこれらの策定に使い、型にはまったような言葉ではなく、自分たちが納得できる具体的な言葉でミッション・ビジョン・バリューを決定しました。
これは今後、毎回の授業で求められる様々な意思決定をする際の礎となるものです。「なぜそういう戦略を取るのか?」、「なぜそういう意思決定を下すのか?」は、全てこの3つに基づいて行うからです。私たちチームは、議論が堂々巡りになった際はいつもこれらを振り返り、自分たちにとって適切な意思決定とは何かを決めていきました。
例えば私たちのチームのビジョン(近い将来なりたい姿)の一部は、「我々は、高品質な計測技術に革新的なデザインを加えて、お客様に一つでも多くの『スマートな生活』を提案します」というものでした。ですので、普段からR&Dの費用は多めにとっており、新製品が投入できそうだという状況があれば、積極的にラインの増設を行ったり、販売価格が不透明な状況でも打診的に新商品の生産を増やしたりしていきました。
当然、こうした意思決定は、「市場全体の需要がどうなるか」、「他社がどのような動きをしてくるか」、「何より自分たちのキャッシュポジションを横で見ると、多少の無理をして設備投資をしても大丈夫か」などという分析と絡めて行います。
何でもかんでもミッション・ビジョン・バリューでこう謳っているからと無謀な意思決定はできません。しかし考えがどんどん煮詰まって、もう二者択一しかないというところまで来たときは、それらに基づいて行動すると成功することが多かったです。仮に失敗しても不必要に狼狽することなく、次への策を冷静に練ることができました。
次回は、実際に授業が始まってからのことをご紹介します。
■レポーター紹介 S.N.(男・30代後半) マネジメントバイアウトファンドやアセットマネジメント会社などで企業に対する投資・事業の再生などに携わる。 ファイナンス以外の分野の学生や留学生が多く、ビジネスに必要な幅広い分野の授業を受講できる点を魅力に感じ、2014年4月に立教大学ビジネスデザイン研究科に入学。現在、大学院2年生。 もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
2015年度春学期に開講された倍和博先生のキャッシュフローマネジメントの授業について書きます。
主観の多い投稿にはなりますが、昨年度の内容自体は大きくは変わっていないので割愛させていただき、「会計学=数値と分析」といった先入観をもってるかも、という方に向けて書かせていただきました。自分はまさにこの図式から始まっています。
授業の本来の目的は「キャッシュフローを経営にどう活かすか」だと思います。
しかしながらこの授業で語る先生の言葉には、もう少し深いところのメッセージを感じました。
(1)会計基準のトレンドの変化は「企業に何を求めているか、求めようとしているか」の変化と同義であること
(2)その変化を読み取ると、近い将来には財務諸表が過去や今を表現するもの以上のツールになりうること
という感じです。財務諸表が過去の実績報告ではなく、投資家が「企業の未来を見るツール」となる時代が来るかもしれず、経営する立場から言えば「自社の未来を他人に見せるツール」になるということなのだと、この授業で感じました。
授業は新聞記事や関連論文の解説から始まります。会計学というものがたどってきた論争や歴史、現在の会計基準が表そうとしているコンセプトなど、最新新聞記事や過去の論文の示唆などを交えて「財務諸表が表そうとしてきたものは何なのか」ということを時に体系的に、時に断片的にお話されます。
先生の私見、陰謀論やら、身近なあるあるから、企業の裏話などを交え、授業でしか味わえない魅力的な時間が続きます。
ROEやEBITDAのあたりの話は特に面白かったです。企業が数字の本質を見失って投資家対策としてROEを引き上げるためだけのテクニックを駆使してる話や、EBITDAというもので企業が自身の本当の力を表現する工夫をしたら市場から叩かれた話であるとか。会計が表現しようとしているものを見誤ると「数字を出す側も見る側もその企業の本質を見誤る」ということを表現するわかりやすい事例だったなぁと思います。
この授業を受けるまで、自分は「会計」というのは「企業の成績表」というような程度でしか考えていませんでした。数字はいい方がいいに決まってる、数字に表せないものは他で表現するしかない、読めて書ければいい、あわよくば節税対策とかよい見せ方の方法が知れれば、くらいの感じです。
授業の後半で行われる財務諸表を使った計算問題や事例分析は今も相変わらず苦手です。しかしこの授業によって、会計および会計学というものが数字の見せ方の話ではなく、その企業がその企業ありのままを表現するために会計がどうあるべきか、みたいなことを目指していて、それを学ぶのはとても大事なのだと気づかされた次第です。
そして昨今の会計学のトレンドは、CSRやブランド、人材やノウハウという「無形資産」をどのように表現し、企業の本当の価値をどう伝えるべきか、というところにシフトし始めているのだな、と感じました。それは会計基準にも影響を与え、近い将来、今まで表現したくてもできなかったことを表現できる時代が来るのではないかとワクワクしています。
■レポーター
セールスプロモーションの会社経営36歳。 知人のススメで入学即答。 気付けばすっかり学校優先。 社員に怒られ、本末転倒。 開き直って、学業没頭。 履修を詰め込み、七転八倒。 もしよろしければ、クリックしてください↓
にほんブログ村
| HOME |