「MBA」と聞いて、あなたは何を連想しますか。
このブログを読んでいる方なら、もちろんMBAという学位に少なからずご関心のある方が多いでしょう。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科への入学を検討されていたり、自己啓発や社会人大学院に関する情報を求めていたりで、このページに辿り着かれたのかもしれません。
そして、そんな皆さんの中には、日本の大学のMBAにそもそも懐疑的な方もいらっしゃるのではないでしょうか。なぜそんなことを言うのか……実は、かく言う私自身がその”懐疑派”の一人だったからです。
ではなぜ懐疑的だったか。私の場合、理由はシンプルです。単純に(そして愚かにも)この経営学という学問について無知だったから、です。そして、無知が故に、MBAに対してレベルの低い偏見を持っていました。すなわち「MBAなんて、”わたしはビジネス分かってます”を標榜したい人だけが欲しがる、”お印”とか”免許”みたいなものなんでしょ」……と。
しかし、2年前の夏のある日。その愚かな偏見は崩れ去りました。そして経営学というものを、そして、このMBAというものを見る目が、180度、転換しました。それは立教MBAの入学説明会。半ば冷やかしで参加した私の心に突然、起こったのです。
会場に入るまでの自分は「MBAって何を勉強させてくれるのかしら。まあ聞くだけ聞いてみよう」という、先に述べた”無知の無知”による、生意気な心持ちだったと思います。説明会のメインスピーカーは当時の研究科委員長、亀川雅人教授でした。亀川教授は昨年度(2019年度)末に退官され、他大学の副学長に就任されておりますが、今もなお立教MBA生から絶大な人気を誇る教授のお一人です。
これから入学する皆さんにはその独特の語り口調をお聞きいただけないのが残念なのですが……その特徴あるハスキーボイスで、淡々と、しかし温かく丁寧に、言い聞かせるように、立教MBA設立の経緯と教育理念についてお話しくださいました。その説明の中で、私がMBAに対する偏見を崩されたポイント、それは大きく2つあります。
「『もの、こと、ひとづくり』が日本のこれからを拓く。そして、そのために必要なのは経営学の知識ではない」、まず衝撃的だったのがこの言葉でした。「経営学万歳」とでもいうのかと思いきや、なんと「経営学の知識では新しい発想など生まれない」と言うのです。これには驚きました。教授曰く「リベラルアーツの大学だからこそ、デザイン思考でビジネスを考えられる人材を育てられるのだ」と。
「ビジネスを総合的な知識で俯瞰し、閃き、分析、統合し、そして実行する。そんな”ゼネラリストのスペシャリスト”を育てる」のが、立教MBAなんだと。ここで、私の頭の中で、「経営管理学修士」の曖昧で些事だったイメージが、一気に明解で高次元なものとなりました。それどころか「そうか、私が求めていたのはそれだ!」と、啓示のようにすら感じてしまった瞬間でした。
もう一つ、経営学を学ぶことの意義を感じ取ったのは亀川教授がおっしゃった「共通言語を身につける」という趣旨の言葉でした。私自身、マーケティングリサーチ分野でのキャリアはそこそこあるものの、関連知識は全て業務経験から我流で得たものばかり。ビジネス用語や概念について、少しは知っていると自負しつつも、実際は曖昧な知識のまま使っていたものも少なくありませんでした。
そして私はそのとき、そんな正しい共通言語(=基本知識)をきちんと授けてくれる場を、自分がずっと探し求めていたことに気付かされたのです。「そう、ずっとそれが勉強したかったんだ」とはっきり分かり、目の前がパッと明るくなったのを覚えています。
説明会の帰り道、夏の夕空を見上げながら私の心は躍っていました。そして決意しました。この立教MBAの門を叩こう、と。私はその年の秋に立教MBA一校を受験し、幸い合格をいただき、翌春から立教MBA研究生の一人となったのでした。
今2年生の私は、すでに立教MBAを1年間経験していますが、その学際的で魅力的な科目群は、予想以上の充実度でした。初級レベルの知識しかない会計や財務の科目はもちろん、立教MBAの名物教科「コンサルティングメソッド」、そして「人材・組織論」から「哲学」まで。
履修した科目はどれも本当に素晴らしく、有意義で、そして各教科のご担任の教授陣はどなたも個性的で人間的な魅力にあふれた方々ばかり。その教授等との授業後の交流からも、さらに多くの知識や示唆を授けて頂いています。
立教MBAで戦略関連の科目をご担当されている田中道昭教授は著書「ミッションは武器になる」(NHK出版新書 553、ASIN: B07DZMPQV7)で「ワーク アズ ライフ」の概念について触れていますが、私はこの考えに非常に共感しています。そしてまさしくこの立教MBAこそ「ワーク アズ ライフ」を目指す人のためにあるMBAではないかと思うのです。
立教MBAの文脈において、「ビジネスデザイン」はすなわち「ライフデザイン」に置き換えることができます。「人生のデザイン力」を身につけられるユニークなMBAなのだと、私は思うのです。「MBAなんて自分には関係ない」「不要だ」、そんな風に思っている人のためにこそ、立教MBAは存在しているのかもしれません。
さてこれを読んで少しでも心が騒ぐ方、そんな方は是非騙されたと思って立教MBAの説明会に御足を運んでみては如何でしょう。もしかすると、全く新しい人生の選択肢が目の前に現れることになる……かも知れません。

2019年4月4日、「履修相談会」参加のために新入生として大学構内に初めて入った時の風景。桜咲く庭で、新入生の勧誘合戦で盛り上がる学部生達。
<筆者について 自己紹介>
K.A./博士課程前期課程2年目/40代/女性
大学の専攻は英文学。イギリス留学経験あり。マーケティングリサーチ業に20年近く携わる。顧客の深層心理やニーズ分析を目的とする探索型調査(定性調査)を得意とする。
現在は企業のイノベーション創出を支援する組織に属し「リサーチャーx立教MBA研究生(+たまに主婦)」の2.5足のわらじ生活を謳歌中。
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